以前は「痛い」と敬遠されていた乳がん検診の変化
乳がん検診は「痛い!」と聞くので、あまり受けたくないんだけど...
超音波(エコー)を用いた超音波検査なら、全く痛くない乳がん検診が可能です!
乳がん検診の種類
乳がん検診は「痛い」というイメージを持つ人も多く、それが乳がん検診を敬遠する一つの大きな原因となっています。
乳がん検診には、痛みを伴う検査方法である「マンモグラフィ検査」だけではなく、超音波を使い、痛みを伴わない検査方法である「乳腺エコー検査」もあり、乳がん検診=痛いというのは、勝手な思い込みです。
乳腺エコーとマンモグラフィは、それぞれ検査結果などに特徴があるため、上手に使い分けることが大切です。
乳腺エコー(超音波検査)とマンモグラフィ
乳腺エコー
乳房に超音波をあて、はね返ってくる反射波を画像化した検査です。乳房表面にゼリーを塗って、その上からプローブと呼ばれる機械をすべらせて、乳房内部を写します。
検査時間は約10~15分と、非常に短い時間で検査が可能です。
マンモグラフィ
乳房専用のレントゲン検査です。X線フィルムを入れた台と、透明なプラスチック板に乳房を片方ずつはさんで、圧迫してうすくのばし、上下、左右方向から1枚ずつ撮影します。乳房が圧迫されるため、多少の傷みを伴うことがあります(痛みの感じ方には、個人差があります)。
検査時間は、約15分から20分程度で、エコーより多少時間を要します。
乳腺エコー | マンモグラフィ | |
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診断の方法 |
病変が黒く映る |
病変が白く映る |
適正 |
乳腺の発達した乳房(20〜40歳代)の乳房検査に適している ※乳房の状態には個人差があります。 |
脂肪の発達した乳房(50歳代以上)の乳房検査に適している ※乳房の状態には個人差があります。 |
強み |
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弱み |
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乳腺エコー(超音波検査)とマンモグラフィどちらがいいの?
乳腺エコー、マンモグラフィともに、それぞれの検査の特徴があります。より正確な診断を行うためには、どちらか一方ではなく、併用する検診が最も確実です。
ただ、年齢が若いうちは、乳腺エコーのみでも十分ですので、乳がん検診=痛いというイメージは捨てて、気軽な気持ちで検査を受けてみてください。
5年前に乳がん検診を受けたから、私は大丈夫でしょ?
検診は、1年に1回のペースで受けることが望ましいです。また、検査方法は触診ではなく、正確な診断が可能なエコー検査を
乳がんは2ミリの大きさになるのに長い時間が必要
乳がんは細胞分裂により大きくなるため、初期の成長は遅く、悪性か良性かを見分けられる約2ミリの大きさになるまでに、大変長い時間を要します。
しかし、ここからの成長は加速し、約5倍の1センチの大きさまで、1年半程度で成長します。また、乳がんの種類によっては、半年で加速的に大きくなる場合もありますので、年に1度乳がん検診を受けていれば、安心です。
乳がんは主に「乳腺」にできるがん
乳がんは、主に乳腺に発生しますが、乳腺は乳汁を作る工場である「小葉」と乳汁の通り道である「乳管」とに分けられます。このうち、乳管内にできるがんが全体の約90%、小葉にできるがんが全体の5〜10%と、乳管にできるがんが圧倒的に多くなっています。
また、がん細胞が乳管や小葉の中にとどまっているものを「非浸潤がん」といい、がん細胞が乳管や小葉を包む膜を破って外に出ているものを「浸潤がん」といいます。「非浸潤がん」はしこりがなく、早期がんに分類されます。「浸潤がん」はしこりの大きさが1cm以上になっていることが多く、定期的な検査で早期に発見することが大切です。
病期0 | がん細胞が発生した乳腺の中にとどまっている(非浸透がん、バジェット病) | ||
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病期Ⅰ | しこり 2cm以下 | わきの下のリンパ節に転移がない | |
病期Ⅱ | A | しこり 2cm以下 | わきの下のリンパ節に転移がある |
しこり 2.1~5cm | リンパ節に転移がない | ||
B | しこり 2.1~5cm | わきの下のリンパ節に転移がある | |
しこり 5.1cm以上 | リンパ節に転移がない | ||
病期Ⅲ | A | しこり 5.1cm以上 | わきの下のリンパ節に転移がある |
しこりの大きさ問わず | わきの下の転移が強い、またはわきの下のリンパ節に転移を認めず、胸骨傍リンパ節に転移がある | ||
B | 皮膚や胸壁に浸潤のあるもの | ||
C | 鎖骨下リンパ節や鎖骨上リンパ節に転移がひろがっているもの | ||
病期Ⅳ | 乳房から離れたところに転移しているもの |
乳がんは、検診以外に気づく方法がないのでしょうか?
1か月に1度は、ご自身でセルフチェックを。
月経直後の胸のはりがない時期がおすすめです。
1ヶ月に1度、自分で乳がんチェック
乳がんは、自分自身のチェックで気づく人も多い病気です。慣れている人であれば、1センチの大きさのしこりで気がつくといわれています。チェックに慣れていない人でも、2〜3センチになると、かなりの人が自分で気づくといわれています。
2〜3センチ程度なら、まだまだ早期発見の部類です。そのためにも、1カ月に1度のセルフチェックを習慣にしましょう。
- セルフチェックはお風呂場で、手に石鹸をつけてすべる状態で行いましょう。
- 鏡があれば、鏡の前で行うことをおすすめします。
一部だけでなく、全体をチェックする
乳がんの発生場所は、右図のように外側上部が約半分と、最も多くなっています。
ただ、中心部(乳輪部)でも7%の発生が認められているうえに、重複して発生することもありますので、一部だけでなく、乳房全体を指の腹で丁寧に触って、しこりなどが無いかどうか調べてください。
乳がんの発生と年齢は無関係
よく、「まだ若いから乳がんにはならない」とか、「60代になったら、もう大丈夫でしょ?」という方がいらっしゃいますが、乳がんのリスクは20代後半にはすでに始まり、これはいくら年齢を重ねても少なくなることはありません。
そのため、1カ月に1回のセルフチェックと1年に1度の乳がん検診を合言葉に、定期的に乳房の状態を調べておく習慣をつけましょう。
乳がん検診は、痛くないエコー検診で、気軽な気持ちで受けていただけます。
例えば、誕生日月は乳がん検診の月にするなど、定期的に検査を受ける習慣を!